2009/03/01

ERIC CLAPTON 2009 ~For EC

「エリック・クラプトンって知ってるか?」
2000年春、ECが私に訊いたこの一言が、私がエリック・クラプトンの音楽に「はまる」きっかけでした。
この年の4月、ECに誘われてカルロス・サンタナのコンサートに行くことが決まっていました。
実は、サンタナも「哀愁のヨーロッパ」位しか知る曲もなくワクワク感はあんまりありませんでした。
コンサートのチケットを購入しに行った時に、ふっと言ったECの言葉がこれだったんです。

勿論私は、名前も知りませんでした。
ECがクラプトンを語る熱っぽさは、サンタナのそれとは比べ物にならないほどでした(笑)。
若い時バンド(ギター)をやっていたECにとって、サンタナもクラプトンも憧れの存在だったようです。
ビートルズに夢中になり、自分も音楽やってみようとした時クラプトンやサンタナのギターに衝撃を受け、兎に角「バカみたいに聴き腐った!」そうです。

そのサンタナのコンサートに、サプライズゲストでステージに上がったのは驚いたことに「エリック・クラプトン」その人でした。
二人のセッションが会場を盛り上げました。
ECの感激は言葉で表せないくらいでした。

翌年(2001年)7月、その年の11月にクラプトンの日本公演があると知り、私達はさっそくチケット購入を試みましたが、なかなかチケットぴあに電話が通じなかった事を覚えています。
結局、ぴあのネット会員になってようやく取れたのが12月3日と5日の2日分でした。
コンサートまでの5ヶ月間は、クラプトンの代表的な曲くらいは覚えておこうと「BEST OF」というアルバムを購入して聴いていました。
その頃のECは、口を開けばクラプトンの事ばかりで、彼のヒストリーをウンチク爺さんの如く延々としゃべくっておりました。

そして、コンサート当日、武道館の中は熱狂の渦。
私は、クラプトンがこんなにも老若男女を問わず人気があり、待ち焦がれていた人が大勢いたんだという事に驚き、生で聴くその音楽に大感動していました。
コンサートが終わってからも、ECの興奮は冷めませんでした。
私はというと、実は、有名な「いとしのレイラ」のフルバージョンを聴いたのはこのコンサートが始めてでした。「BEST OF」の中の同曲は、アコースティック・バージョンで、全く雰囲気の違う曲だったのです。
「なっ! あれが俺のレイラなんだよ」
それからもECは舌好調!でした(笑)。

「tears in heaven」「river of tears」「wonderful tonight」・・etc
そしてECの大好きな曲「bell bottom blues」・・
ECの講釈(笑)は、作曲の背景や人間関係、ドラッグや酒に溺れた時代にも及びました。
この頃は、私も一端のクラプトン フリークになっていて、会社でもクラプトンファンを公言していました。
2003年の日本公演の年には、上司までもが日経新聞に5日間ほど掲載されたクラプトンの記事を切り抜いて持ってきてくれるというほどになっていました。(爆)。
大体の曲目に馴染みが出た2003年のコンサートは、前回とはまるで違った興奮を感じたものです。

そして、このコンサートで、その後忘れられない曲が演奏されました。
「Over The Rainbow」です。
胸が痛くなるほどの感動でした。 聴き終わった時は、涙がこぼれそうでした。
後で聞いたら、ECも涙が出そうになったそうです。

それから2006年、再来日。
11月1回、12月2回の3回の公演を楽しみました。
この頃、ECの体調は急激に悪くなっていました。コンサートチケットの購入にも知恵が付いていた私は、競争率の高いアリーナ席をGET!
後で聞いたら、アリーナで見たときが絶不調だったそうです。
この時の体調は、翌年の健康診断を決断させる最も説得力ある原因だったと思います。
とは言え、大好きなクラプトンを久しぶりに体験し私達は大満足でした。

2006年から2007年にかかるこのワールド・ツアーは、クラプトンの最後のツアーと銘打ったものでしたが、ECが言うように「ありえない!」は、今年証明された訳です。(笑)。

2007年の春にECは、重い病の宣告を受けました。
「去年、クラプトン行けてよかったな」
きっと、「ありえない!」って言ってたけど、あれが最後のツアーで、見納めは自分だけではないということを願っていたかもしれません。

2001年から2006年まで、各年複数回を通算して6回のコンサートを、いつもECと一緒に楽しみました。
ありがとうEC。

今年、2009年の公演は始めて一人で行くコンサートです。
写真の中のECは、私の膝の上でステージを見ていました。







傍らにECがいて、「今年の曲は新しいアレンジが多いね」「あっ、このアレンジいいね」「ベル ボトム ブルースやって欲しかったなぁ」・・・「クラプトン・・やっぱりいいね」
興奮しっぱなしで語り続けていたように思います。
身体の痛みから開放されて、思いっきり楽しんだと思います。

私にエリック・クラプトンを教えてくれたECは、今はもういません。
でも、クラプトンの曲が流れていたら、間違いなくそこにECはいるのです。
生きているときよりも、より深くその存在を感じます。

ECが決して順風満帆な人生ではなかったことも、クラプトンに引かれた理由かもしれない・・・と、クラプトンの自叙伝を読んで思いました。
今にして思えば、ウンチク爺さんの話をもっとまじめに聞いてあげれば良かったな・・・なんて思います。きっと自分の事をかぶせて言っていたのかも。
クラプトンは様々な挫折の中にいても、決して音楽を捨てることがなかった。
ECの人生は終わってしまったけど、私生活でも本当の幸せをつかんだ今のクラプトンにバトンタッチしたんだなって思いたいです。

EC、今度クラプトンが来日したらまた行こうね。
これが最後って、「ありえない!」もんね。(笑)。

(最後まで読んでくださって有難うございます)
*WOWOWで、3月15日(日)PM6:00より今回のジャパンツアーがON AIRされるそうです!